秋の山形 天童紀行


☆Re.ReRe.ReReRe☆

出かける準備をしてPCを落とそうとふと目を向けるとメールがたくさん来ている
開いてみるとみんな出発前のご挨拶であった
空は青空 秋の風が爽やかな日になり一路東京駅へ向かう
生まれて初めて乗る山形新幹線は在来線を走ると言う
東京駅のホームで待っていると威風堂々とした東北新幹線に曳かれるようにかわいらしい山形新幹線が付いて来る
なるほど小柄なボディである
「どうせガラガラに空いている」と言う予想を大幅に裏切って車内はほぼ満席状態であった
窓の外は東京と変わらない風景がしばらく続くがやがてどこと無く牧歌的な雰囲気が感じられるようになるとまもなく切り離しの福島に着く
この駅で山形方面と盛岡方面に分かれる事になるのである
切り離された山形新幹線は大きくカーブをすると在来線の線路に合流する
ちょうど高速道路のインターチェンジを下りて一般道へと下って行くあの感じである
窓の外は稲を刈り取った後の田んぼが一面に広がり色づいた柿の実をつけた木が時折後へと下がっていく
普通の新幹線は家を見ようと思うと目線が下がるがここはそんな事は無い
まさに在来線の面目約如である
天童の駅はホームが二つ・・階段を使わずエスカレーターで上に上がって改札を抜ければそこは天童の町並みが広がっている
少しばかり風が強いが思ったより強い陽射しを浴びながら一路ホテルに向かうのであった

☆きのこ談議に花が咲く☆

部屋に荷物を置いて再びロビーに下りて待つほどにやがて待望の飛行機組を乗せて車が駐車場へと納まった
初対面の人 懐かしい人 それぞれの思いがはじける瞬間である
ロビーでの再開があまりに賑やか過ぎてお小言までもらった一同はすごすごと部屋のある階へ移動をすることになった
一日目の行事その1は「隠れ家」と言う名前のお店でのお食事であった
車で移動するもあっという間に到着
一日に一組限定なのだそうである
長い年輪を刻んだ大木を使ったテーブル・・一枚ものである
これだけでも感動するのであるがお料理を入れてくる器も味があり捨てがたい魅力に溢れていた
一品ずつ出てくるたびに嵐のようなフラッシュが光る
中でも一際フラッシュを浴びたのが地元で取れたマツタケと米沢牛であった
「トウガラシ・・・」と聞こえたのでそう言う料理法なのかと思っていたら牛の部位のことで一頭から10キロしか取れないと言う貴重な肉のことであった
おまけに鯨まで出てきた
マツタケは焼いて・・何とお茶漬けに化けた
この上ない贅沢!
酒は料理の引き立て役か
料理は酒の脇役か
共に相手を際立たせてくれて一同満足の感が・・
行事その2が迫っているためあっという間に食事が終わってしまったのが残念な気もするが後ろ髪を引かれながらも気持ちは次の会場へと飛んでいた

☆その2 その3 夜が更ける☆

車で着いた先 その2の会場はしゃれた雰囲気のお店であった
ライブのセッティングをしている間にも人がだんだん集まってくる
ライブ未経験の我が身としてはお客様になって見守るしかない
昨年の神戸でもそうで有ったが初対面にも拘らずみんなきちんとセッションが出来る
なんとも不思議な事では有るがこういう出会いがまた楽しくもあるのだ
集まってきた人たちは当然の事ながら地元の人々である
そんな訳でお客さんの筈の人たちが我々一行の接待までしてくれ飲み物のお代わりまで運んできてくれるのには恐縮するしかない
「ライブとはいつもこういう感じなのか?」
思わずたずねると
「こう言う所も有る 家庭的な雰囲気で良いのでは」との答えが返ってくる
なるほど・・と感心しながらコーラを口に運ぶ
休憩タイムと言いながらメンバーが入れ替わりでまた演奏を始める
最後は涙と感動のフィナーレとなり暖かい言葉に見送られその3の会場へ・・・
持ち込みOKの会場に入るとテーブルの上には溢れんばかりの飲み物と食べ物が並ぶ
買出し部隊まで結成されたかのようにいそいそと出かけていく者もいる
気分が高揚している時は何でも楽しく何でも可笑しい・・ ひたすら笑い飲みたいものを飲む・・
「はい!」と手渡された飲み物 てっきりウーロン茶だと思い思いっきりよく飲んでしまって驚いた
しっかりアルコールが入っていた
これで完全にヨッパになってしまう悲しい現実(笑)
後は勢いだけである
みんなの心地よい声に誘われてエネルギー消費に勤めやがて運転代行の方の来てくれる時間になった
外に出てみればさすがに寒い
日付が変わっているのだから出来るだけ静かに・・と思うのであるが一行のテンションは上がりっぱなしなのであった
ホテルに戻ったのは完全に丑三つ時で今度こそ静かに部屋へと戻るがまだ飲む!!っと言う面々が隣の部屋に集まったようであった
ベッドに潜り込んだ頭の中で隣の話し声が心地よく起きているのか寝ているのか・・・
解らないままに夜は更けていくのであった

☆風雅の国で時間のフーガ☆

いとも爽やかな朝を向かえ1階へ朝食をとりに降りる
誰も姿が見えないがきっと朝寝坊を決め込んでいるのだろうと一人窓際族となる
日頃はブランチの生活であるが旅に出ると朝食をとるのが習慣になっている
食べ損なってしまう人がいるといけないと思い持ち出し禁止なのでポーチにおにぎりを忍ばせる
6階に戻るとなにやら賑やかな声がする
なぜか4階にいる人まで集まってこれから朝食に出かけると言う
考える事はみな同じらしくそれぞれ食べ物を忍ばせて戻ってくる
やがてチェックアウトの時間が迫りロビーへ集合
立石寺の階段を上るのは大変危険な状態の面々・・
対岸にある風雅の国へと車を進める
立石寺がきれいに眺められ敬虔にも登っていく人々の姿がはっきりと見ることが出来た
実はここに来る前に一箇所ばかり寄り道をしてきているのだが「つぶやき」に一寸書いてみようと思い省くことにした
陽射しは強いが風は冷たく日陰に入ると寒いくらいである
お土産を買うもの・写真を撮るもの・・
時の経つのは早いもので11時を過ぎていた
時間を追いかけ・追いかけられて一行は露天風呂があると言う温泉施設へと車を走らせた

☆そして風は流れる☆

コスモスの花の群落が遠くに見える
「あそこの近くに行きたい」と女性陣が言う
車はなぜかその方向へ走っている
コスモスの群落は露天風呂のある施設の一角に作られたものであった
男性はお風呂の中へ女性はコスモスの中へ・・
急ごしらえの物見台から眺めれば青い空とピンクのコスモス・・秋をそのまま絵にしたような風景が広がっている
やがてお風呂を満喫した男性とコスモスを満喫した女性を乗せてお昼を取る予定のお蕎麦屋さんへと移動を開始した
「普通に美味しいお蕎麦」「ん・・と旨いお蕎麦」の選択でもちろん旨い蕎麦がいい!!っと全員一致した意見であったのだから迷うことは何も無い
日曜日だと言う事も有ってお昼を遥かに過ぎた時間だったのにも拘らずお店は人がいっぱいであった
ここからが時間と勝負である
一人早退する身を案じてくれた皆に申し訳ない思いが先にたちだんだんぎこちなくなって来る自分がもどかしく思える
一人分だけ先に・・と頼んでくれた思いやり 実は麺類を啜れないと言う情けない我が身・・(これだけはいくら練習してもだめである)
ドタバタやりながら出発すると言う声に救われて席を立つ
別れのシーンは大嫌いだ
さり気無く気にも留められないまま消えて行きたかったがそうも行かない
柔らかな手と握手!!

暖かい声に見送られて一路天童駅に向かう
ありがとうね
優しい声に見送られ改札へと向かう階段を上る
振り返ればいつまでも手を振っている人がいる
一段登るごとに風は髪をさらって行く
秋の気配が濃くなっていく中で最後の階段を上って振り向いた
やっぱり手を振っている人がいる
喉まで出かかった言葉を飲み込んで改札口を通り抜ける
これで今回の天童オフ報告は終了である




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